口内炎に半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が効く理由

2016/12/09 16:50:51

テーマ: 症状別の漢方薬

IMG_2188

口内炎に半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が効く理由

今日は半夏瀉心湯について最新の研究結果も含めて解説していきます。

漢方の処方として現在まで淘汰されずに残っていて、臨床の現場でもよく使われる処方です。

古典的には中国の医書「傷寒論(しょうかんろん)」や「金匱要略(きんきようりゃく)」にその効果が記されています。

両書の基となった「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」は後漢時代から三国時代に完成したと言われています。

あの有名な映画「レッドクリフ」の時代あたりです。

最近は歴女(れきじょ)という言葉もありますが、まさにブームとなっている「三国志」の舞台を描いた映画です。

映画のあるシーンで、疫病を治すための漢方薬について言及する場面もでてきます。

ぜひ見てみてくださいね。

さて、本題に戻りますが、半夏瀉心湯は半夏を主薬とする瀉心湯の仲間です。

心下痞硬(しんかひこう)という症状を取り除いてくれます。

処方名にもなっている瀉心とは「みぞおち付近(心下部)の痞えを取り去る」という意味があります。

胃腸の働きを良くして、食欲不振や胃もたれ、吐き気や嘔吐、お腹のゴロゴロ、下痢などに使う場合もあります。

構成生薬は黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、半夏(ハンゲ)、乾姜(カンキョウ)、人参(ニンジン)、甘草(カンゾウ)、大棗(タイソウ)です。

それぞれの生薬に様々な効能が知られてきていますが、簡単にまとめますと、

黄連、黄芩は心下の実熱をさまして心下の気の痞えと上下の動揺症状を治します。

半夏、乾姜は気を巡らせ胃内にたまった水をさばき嘔吐を治します。

人参、甘草、大棗は諸薬を調和します。

臨床での応用として胃炎(急性・慢性)、胃アトニー症・胃下垂、胃酸過多、胃十二指腸潰瘍、消化不良、胸やけ、げっぷ、醗酵性下痢、胃腸神経症、妊娠嘔吐、二日酔い、そして「口内炎」に使われています。

テーマにもあげていた口内炎については抗がん剤の治療に伴うケースが有名です。

もちろん、普段の口内炎にも良く効きます。

科学的根拠(エビデンス)として、半夏瀉心湯は炎症性物質である PGE2(プロスタグランジン) 産生抑制により鎮痛・抗炎症作用を発揮することや、黄連に含まれるベルベリンは広い抗菌作用を示します。

これにより口の中の細菌増殖を抑制し,もともと口の中に存在する細菌からの二次感染を防ぐことが期待されています。

また半夏瀉心湯は,細胞が傷をうめようとする速度を亢進させることにより粘膜修復作用を示すことが実験でも明らかとされていますので、口内炎の治りが早くなります。

病院などでは口内炎の痛みを抑えるために非ステロイド系消炎鎮痛薬が使われており、確かにこれでもPGE2 産生は抑制できます。

しかし、消化器障害などの副作用発現があったり,抗菌作用,傷の治りを早くする効果はありません。

痛みが非常に強い場合は局所麻酔薬での「うがい」なども行われます。

歯科医で麻酔を使ったことのある方はわかると思いますが、口全体が麻痺して味がしなかったり、食感がわからず、食べた気にならないと患者さんにはあまり好まれません。

運龍堂でも扱っていますが、最近では漢方煎じ薬のエキス剤(インスタントコーヒーのようなもの)が増えていますので保存もきき、使いやすくなっています。

東洋薬行の高品質なエキス剤です。自信をもってお勧めします。

口内炎のためにエキス剤をお湯に溶かしてうがいするのも良いですし、唇にできた場合はガーゼに浸して患部にあてても良いです。

潰瘍がある場合はエキス末を綿棒で直接塗りますが、塗り始めはどうしても痛みがあります。

そのまま飲んでも良いですし、飲まなくていいというところがポイントです。

(胃に熱がこもっている場合はその熱が口内炎の原因になっているので飲んだ方が良いです。)

口に含んでから10 30 分で痛みが鎮まり、痛みが止まっている間に食事もできます。

痛くて食事がとれない場合は毎食前に使用し,潰瘍を治すことがメインであれば 1日の使用頻度を上げて回復促進効果に期待します。

口内炎にお悩みの方はぜひお店までお越しくださいませ!