漢方薬局で行う「子宝相談」とは

2012/11/11 20:11:40

テーマ:漢方の子宝相談とは

前回の不妊の原因についての解説に引き続き、不妊の治療として、漢方薬局が良く掲げている、いわゆる「子宝相談」の内容について、ご説明します。

※不妊の原因についての解説は、こちらをご覧下さい。

◎不妊の原因となるベースとは

最初に、漢方の視点から見た不妊の原因となるベースについて解説致します。男女ともに共通するお話です。

ここで言う「腎」は、西洋医学で言う「腎臓」とは、異なります。以下に、「腎」と不妊の関係について、箇条書きで解説を加えます。

・東洋医学では「腎」を単に腎臓とは見なさず、内分泌系、生殖器系、
 免疫系など
を含めた生命の源と考え、精力とも一体のものとして捉えている。

・ 生殖機能を司るのも「腎」であり、この「腎」の働きは、30歳前後の ピークに向かって上り詰め、後は徐々に衰えていく。そのため、卵や精子の質が低下する。

・不妊症では、この腎を補う「補腎(ほじん)」という治療が大切である。
・腎の働きが低下している状態を腎虚と言い、基礎体温が低めの「腎陽虚(じんようきょ)」と基礎体温が高めの「腎陰虚(じんいんきょ)」の2つのタイプに分かれる。(多くの場合は、冷えを伴う「腎陽虚」のタイプである。)

・「腎陽虚(じんようきょ)」のタイプには、腎を補い、体を温める「腎補陽(じんほよう)」の治療を行う。なお、「腎補陽」のお薬で最も効果が高いのは、動物生薬の「鹿茸(ろくじょう)」です。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

なお、鹿茸の詳細については、こちらをご覧下さい。

◎治療のお話の前に

さらに具体的な治療のお話の前に、大切な事を伝えておきます。それは「食事と睡眠時間は要注意!」ということです。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

このように、食事の内容や睡眠時間(睡眠のスタート時間)によって、薬の効き方や治療効果が低下するので、注意が必要です。

◎男性不妊の治療

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

「腎」についての解説でお話したとおり、腎陽虚の場合は、主に鹿茸(ろくじょう)を使って治療を行う事になります。一方、腎陰虚の場合は、主に知柏壮健丸(ちばくそうけんがん)という漢方薬を使用することになります。知柏壮健丸は、補腎の効能がある「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」に清熱の効果がある黄柏(おうばく)知母(ちも)が加えられた漢方薬です。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

精管通過障害の場合は、手術によって治療可能です。また治療効果を高める為に、例えば桂枝茯苓丸合香蘇散(けいしぶくりょうがんごうこうそさん)等の気と血の滞りを取り除く薬を用います。これは、漢方では精管通過障害に気と血の滞りが関与すると考えているためです。

次に、女性不妊の治療について、解説します。
漢方で行う治療では、「卵子や子宮の質を高める事」と、「女性周期を整える事」が中心となります。「女性周期を整える事」については、「周期療法」と呼ばれる治療を行います。

◎女性不妊の治療(1)
特に35歳以上の女性の場合、卵子や子宮の老化が考えられるため、鹿茸(ろくじょう)を中心に治療を行う場合が多いです。

注)後述する女性周期に乱れがある場合は、治療の優先順位が変わる事があります。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

腎虚のうち、90%異常が腎陽虚(じんきょうきょ)のタイプであるため、「腎補陽(じんほよう)」の効果がある鹿茸(ろくじょう)を使用する場合が多くなります。

なお、鹿茸(ろくじょう)の効果をまとめると以下のようになります。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

◎女性不妊の治療(2)
女性周期の乱れは、不妊の要因となります。従って、女性周期が乱れている場合は、「周期療法」という処方で、女性周期を強化し、周期の乱れを改善します。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

「周期療法」では、女性周期を4つに分けて、それぞれの周期に適切な漢方薬を服用することで、女性周期を改善させていきます。

・生理期(月経期)
→不必要となった子宮内膜の排出する時期です。血の巡りを改善する「活血薬」と気の巡りを良くする「理気薬」の漢方薬を併用することで、子宮内膜の排出を促進します。

・低温期(卵胞期)
→子宮内膜が増殖して厚くなり、卵胞が成熟する時期です。「腎」の働きを補い、血を補う「補陰血薬」の漢方薬を使用することで、卵胞の成熟を促します。

・排卵期
→排卵が起きる期間で、妊娠が可能となる時期でもあります。「補陰血薬」と「活血薬」の漢方薬を併用することで、排卵をスムーズにします。

・高温期(黄体期)
→卵胞が黄体に変化する時期です。陽を補い身体を温める「補陽薬」の漢方薬を中心に服用して、受精卵の着床および成長を助けます。

◎女性不妊の治療(3)
高温期に体温の乱れが起こりがちです。これは、主にストレスが原因です。漢方では、肝鬱(かんうつ)と呼ばれる症状になります。

杜の都の漢方薬局 運龍堂のブログ

ストレスがあると、脳下垂体から分泌されるFSH(卵胞刺激