延寿屠蘇散のご紹介

2016/12/03 17:40:45

テーマ:コラム

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<意義>

屠蘇散(とそさん)は、新しい年の出発にあたって、新陳代謝の滞りを清掃し、身体を清建にして長寿をはかるという意味で処方されたものです。

元旦から3日間、あるいは5日間、お屠蘇を酌む(くむ)習わしは、遠い昔から今日まで伝えられております。

東京、大阪、京都などの旧家では特に尊重される行事の1つです。

1家揃って酌むときは、年少の者から始めて、順々に年長の者に回し、幼童少年少女は新年を明識し、また、年始客には、誰にも先ずお屠蘇を献じることにいたします。

これは決まり良い美風となり、薬を嫌って飲むことの出来ない人には、知らず知らず薬に親しませる助けとなり、さらに体質改善によって「病、未だ病まざるうちに是を治す」という精神の教えにも役立ちます。

日本の習わしを大切にし、ご家族の健康と活躍を願って、より良い新年をスタートしていただきたいと思います。

<作り方>

屠蘇散1袋を清酒180mL~360mL(1合ないし2合)の中に浸して、1晩そのままおき、元旦の朝からお使いください。

お好みに応じてミリンを入れると味がよく飲み易くなります。

<原材料>

山椒果皮、桂皮、みかん皮、桔梗根、浜防風、おけらの茎葉

1袋で200円になります。

<材料解説>

・山椒(さんしょう)

山椒は北海道から九州、朝鮮半島南部に分布するミカン科の落葉低木サンショウの果皮です。

知らない方も多いかもしれませんが、実は日本固有の香辛料なんです。

中国では同属植物のカホクザンショウの果皮を花椒として用いています。

辛味成分には殺虫作用や健胃、整腸、利尿作用が認められています。

漢方では体の中を温め、冷えによる痛みを取ったり、駆虫作用として用います。

・桂皮(けいひ)

桂皮はクスノキ科のケイの樹皮です。

薬料、香料として古くから世界各地で用いられ、「神農本草経」をはじめ、エジプトの「エーベルス・パピルス」、インドの「チャラカ本草」、ギリシアの「マテリア・メディカ」などにも記載が見られます。

皆様もご存知のシナモン、あれが桂皮を粉末にしたものです。

古代エジプトでは没薬などの香薬とともにミイラを作るときに用いられていました。

あの独特の芳香性の成分はほとんどがケイアルデヒドであり、解熱、鎮静、鎮痙、末梢血管拡張、抗菌作用などが認められています。

漢方でも身体を温めながら皮膚表面の血流をよくするために使われています。

毛細血管を流れる血流を改善するため、現代のアンチエイジング分野で注目を集める生薬の1つです。

・みかん皮

漢方では古く乾燥させたミカンの皮を陳皮(ちんぴ)として使用しています。

陳皮の「陳」は「陳旧」の意味であり、古いほうが良品とされています。

10年以上のすごく古いものは高値で取引されています。

香が良いため漢方では気の巡りをよくする理気薬(りきやく)に分類され、ストレスを除いたり胃腸を整える役割として使っています。

・ 桔梗根(ききょうこん)

日本、朝鮮半島、中国などに分布するキキョウ科のキキョウの根です。

名前の由来は結(桔)実して硬い(梗)ことから付けられたとされています。

漢方では鎮咳去痰、排膿作用で用いられます。

桔梗は「舟楫(ふなかじ:舟によって物を運ぶこと)の剤」とも呼ばれ、他の薬剤の効果を上部の病変部に運ぶ働きがあるという説もあり、呼吸器疾患の要薬として知られています。

皆様の身近なものでは「龍角散」などにも入っています。

・浜防風(はまぼうふう)

セリ科の多年草で、ボウフウは日本に自生していません。

日本でボウフウといえば海辺に自生するハマボウフウのことをいいます。

防風とは「風邪を防ぐ」という意味です。

防風は漢方では発汗を促したり、消炎、止痛、止瀉(下痢止め)として使われています。

・おけらの茎葉

オケラは漢方では朮(じゅつ)という生薬として、キク科のオケラの根茎を用いています。

これも胃腸を整えたり、体の水分代謝を良くするために使われています。

身体の余計に溜まった水は出してくれますが、病院でもらう利尿剤のように水分を外に出し過ぎるということはありません。