投稿日:2019.06.01/更新日:2020.03.06

牛黄パワーで夏バテ予防・改善

牛黄パワーで夏バテ予防・改善!
漢方で用いられる動物性生薬はパワフルで即効性があるのが特徴です。中でも高貴薬と呼ばれるお薬は2000年以上前から効能が知られ、権力者が独占してきたものでした。代表的な高貴薬は牛黄(ごおう)であり、夏場は大活躍します。飲んですぐに実感したい方には牛黄がおすすめです。

<夏の牛黄、冬の鹿茸(ろくじょう)>
ウシの胆石である牛黄は、もともとウシ1~2万頭に1頭からしか取れないと言われるほど希少である上に、その優れた効能から需要の増加によってさらに入手が困難になっています。牛黄は滋養強壮と清熱作用に優れており、夏の猛暑から起こる体力低下の即効的回復と過度な体温上昇の防止で使われます。一方、寒さが悪さをする冬には身体を温めながら基礎体力アップを行う鹿茸という鹿の角を用いることが多くなります。したがって、漢方業界では「夏の牛黄、冬の鹿茸」と表現することもあります。現代人は夏はクーラーで冷える場合もあるので、鹿茸も活躍するのですが、猛暑による夏バテにはやはり牛黄がとても良く効きます。もちろん、肝を養う牛黄と腎を養う鹿茸を併用すれば肝腎要の処方となり相乗的にも効果が期待できます。

<肝(かん)と心(しん)に効く牛黄>
牛黄は五臓の肝(かん)と心(しん)を養う生薬です。どちらも血液循環には大切な五臓ですので、血管疾患が多くなる夏場は牛黄を飲むと安心です。また、ビールが美味しい季節ではありますが、肝臓を良くする牛黄は二日酔い防止にも最適です。その解毒作用は昔殿様が毒を盛られたときに牛黄を使って解毒していたほどですので、かなり強力です。夏は「心」の調子に気を付ける必要がある季節です。「心」は熱がこもりやすい特徴があり、ここに熱がこもると上に昇りイライラや不眠、目の充血、のぼせ、顔面紅潮などが起こります。身体の余計な熱を冷ましてくれる牛黄は熱帯夜の不眠にも有効です。

<効能に優れ、安全性も高い>
最古の薬物書である神農本草経(しんのうほんぞうきょう)にも牛黄は収載されています。この薬物書には生薬を「上中下」で分類しており、牛黄は「上薬」に属します。「上薬」は命を養う薬とされ、毒性がなく、量を多く飲んだり長期使用しても害がないとされています。お薬は本来、量に気を付ける必要がありますが、牛黄はそれだけ安全性が高いと言えます。効能も安全性も高いため、非常に重宝されてきました。

<驚癇寒熱(きょうかんかんねつ)、熱盛狂痙(ねつせいきょうけい)>
難しい言葉ですが、神農本草経で牛黄の効能はこのように表現されています。驚いて卒倒(そっとう)した者や高熱で痙攣を起こしたもの、精神異常をきたした者に効くという意味です。熱中症で倒れた場合もこれに該当しますが、倒れる前に服用して予防することが何より大切です。

ぜひ、この夏の猛暑を牛黄パワーで乗り切っていただきたいと思います。

    この記事の監修薬剤師

    運龍堂 佐藤貴繁

    略歴

    1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
         北海道大学薬学部を卒業
    2003年 薬剤師免許を取得
    2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
         専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
    2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
    2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
    2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
    2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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    2019/06/01

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    牛黄パワーで夏バテ予防・改善!
    漢方で用いられる動物性生薬はパワフルで即効性があるのが特徴です。中でも高貴薬と呼ばれるお薬は2000年以上前から効能が知られ、権力者が独占してきたものでした。代表的な高貴薬は牛黄(ごおう)であり、夏場は大活躍します。飲んですぐに実感したい方には牛黄がおすすめです。

    <夏の牛黄、冬の鹿茸(ろくじょう)>
    ウシの胆石である牛黄は、もともとウシ1~2万頭に1頭からしか取れないと言われるほど希少である上に、その優れた効能から需要の増加によってさらに入手が困難になっています。牛黄は滋養強壮と清熱作用に優れており、夏の猛暑から起こる体力低下の即効的回復と過度な体温上昇の防止で使われます。一方、寒さが悪さをする冬には身体を温めながら基礎体力アップを行う鹿茸という鹿の角を用いることが多くなります。したがって、漢方業界では「夏の牛黄、冬の鹿茸」と表現することもあります。現代人は夏はクーラーで冷える場合もあるので、鹿茸も活躍するのですが、猛暑による夏バテにはやはり牛黄がとても良く効きます。もちろん、肝を養う牛黄と腎を養う鹿茸を併用すれば肝腎要の処方となり相乗的にも効果が期待できます。

    <肝(かん)と心(しん)に効く牛黄>
    牛黄は五臓の肝(かん)と心(しん)を養う生薬です。どちらも血液循環には大切な五臓ですので、血管疾患が多くなる夏場は牛黄を飲むと安心です。また、ビールが美味しい季節ではありますが、肝臓を良くする牛黄は二日酔い防止にも最適です。その解毒作用は昔殿様が毒を盛られたときに牛黄を使って解毒していたほどですので、かなり強力です。夏は「心」の調子に気を付ける必要がある季節です。「心」は熱がこもりやすい特徴があり、ここに熱がこもると上に昇りイライラや不眠、目の充血、のぼせ、顔面紅潮などが起こります。身体の余計な熱を冷ましてくれる牛黄は熱帯夜の不眠にも有効です。

    <効能に優れ、安全性も高い>
    最古の薬物書である神農本草経(しんのうほんぞうきょう)にも牛黄は収載されています。この薬物書には生薬を「上中下」で分類しており、牛黄は「上薬」に属します。「上薬」は命を養う薬とされ、毒性がなく、量を多く飲んだり長期使用しても害がないとされています。お薬は本来、量に気を付ける必要がありますが、牛黄はそれだけ安全性が高いと言えます。効能も安全性も高いため、非常に重宝されてきました。

    <驚癇寒熱(きょうかんかんねつ)、熱盛狂痙(ねつせいきょうけい)>
    難しい言葉ですが、神農本草経で牛黄の効能はこのように表現されています。驚いて卒倒(そっとう)した者や高熱で痙攣を起こしたもの、精神異常をきたした者に効くという意味です。熱中症で倒れた場合もこれに該当しますが、倒れる前に服用して予防することが何より大切です。

    ぜひ、この夏の猛暑を牛黄パワーで乗り切っていただきたいと思います。

      この記事の監修薬剤師

      運龍堂 佐藤貴繁

      略歴

      1977年 北海道生まれ。北海道立札幌南高等学校
           北海道大学薬学部を卒業
      2003年 薬剤師免許を取得
      2006年 北海道大学大学院薬学研究科生体分子薬学
           専攻博士後期課程を終了後、博士(薬学)取得
      2011年 福祉社会法人 緑仙会理事 就任
      2012年 杜の都の漢方薬局 運龍堂 開局
      2013年 宮城県自然薬研究会会長 就任
      2017年 宮城県伝統生薬研究会会長 就任

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